極上御曹司はかりそめ妻を縛りたい~契約を破ったら即離婚~
第2章 恋に落ちるのは契約違反です
「……!」

目を開けたら間近に古渡さんの顔があって、思わず身体が仰け反った。

「そうか。
昨日、一緒に寝たんだった……」

気持ちよさそうに眠る彼の顔を見ながら、昨晩のことが思い出される。

『他の女はいらない。
澪音だけが欲しい』

あれはいったい、どういう意味だったんだろう。
いつもは軽い調子でキスしようとしてくるのに、真剣だった。

――それでも、契約違反だと突っぱねたけど。

「なに、考えてるんですか」

女性は皆、等しく美しい。
だからひとりになんて決められない。
それが、彼の主義だったはず。
しかし他の女はいらないとか、それから外れまくっている。

「んー」

彼が寝返りを打ち、思わずびくりと身体が震えた。

「……」

のそり、といかにも重そうに彼が起き上がる。

「おはよう……ございます?」

< 56 / 178 >

この作品をシェア

pagetop