好きになった先生は猫かぶりで腹黒な先輩だった

実技試験

「なんか意外だわ。」



『何がですか?』



「いや緊張する人かと思ってたから。」



『あぁ。』



舞台裏。
今舞台ではフルートの子が試験をしている。



数こなしても緊張っていうのは慣れないわけですが。



『ここでは緊張しないですよ。』



「ここでは?」



むしろここにいると謎の余裕が生まれる。



『舞台に立ってお辞儀をするまではいいんです。
音楽が始まった瞬間、緊張で手が震えるんですよ。
まぁ微かになんで演奏に支障はないです。』



「聞いたことないタイプ。
やっぱカナデは変人だな。」



『どーも。』



あ、終わった。
さて、次は私たちの番。



「クラリネット、水書奏さんどうぞ。」



『はい。』



「カナデ。」



『何ですか?』



というか今ですか?
もう行きますよ。



「これ終わったら話がある。」



『・・・それ今言いますか?
行きますよ。』
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