「ううっ……。グスッ」

高校一年生の海斗(かいと)に抱き付き、ロングヘアーをした女の子ーーー流花(るか)が泣いている。誰もいない教室で、海斗は流花の頭を撫で「よく頑張ったね」と優しく声をかけていた。

高校一年生の秋、流花は高校に入学した当初から好きだった先輩に告白をして失恋したばかりだ。海斗は流花をずっと慰めている。

流花の涙に海斗の心は傷付いたものの、告白が成功しなくてよかったと正直思っている。何故なら、海斗はずっと前から流花のことが好きだからだ。

流花とは幼なじみだ。音楽が大好きで、中学校では合唱部に入部して、高校生になってからはお互いに好きな歌手のライブに二人で行ったりもしている。音楽に目を輝かせる流花に海斗はずっと惹かれているのだが、流花は先輩を好きになった。そして、恋愛相談を何度もされてきたのだ。

「終わったな、僕の恋……」

片想いは儚く散っていく、そう思って海斗は何度も泣いた。「お似合いだと思うよ。先輩と流花」と嘘までついた。どうして好きになってしまったんだろう、と後悔までしてしまった。