ブルースカイの夢
「将来の夢は何ですか?」

その質問をいつからかされるのが怖くなった。嫌なことを思い出し、あたしはギュッと布団を握り締める。家のものとは違う香りのする布団だ。

「真奈(まな)ちゃん、今日はベッドにいた方が楽?」

中学校の保健室、優しくて生徒から人気の鈴(すず)先生が声をかけてきた。あたしは「もう大丈夫です」と言いながら起き上がる。そしてカーテンを開けると、ニコリと鈴先生は微笑んでくれた。あたしはその横に座り、教科書を広げる。

あたしは中学一年生の夏からずっと保健室登校をしている。学校へ来ても教室には入らずにずっと放課後まで保健室で過ごすんだ。鈴先生に勉強を教えてもらっている。

あたしが幼い頃、両親は離婚した。原因は母が父の言葉を聞かずに豪遊を続けるから。愛想を尽かした父はあたしを連れて家を出た。そしてその時、あたしに言ったんだ。

「真奈、人に従う人になりなさい。自分を貫くと傷付くことの方が多いから」
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