ドキドキするだけの恋なんて
9

二日続けて 翔真と 一緒にいたことで

私の 翔真に対する思いは 恋になっていた。


一緒にいて 居心地が良いところとか

自然な私で いられるところは

最初に会った時から 変わらないけど。


親しみと 愛しさが 増して。


翔真の 私を見る目も 熱くて。


私達は 甘い気分を 抑えることもなく。

見つめ合っては 照れて 微笑んだ。



翌日 翔真の実家に 車を返しに 向かう。


「これ お父さんの車なの?」

「んっ?俺の車だよ。駐車場 高いから。実家に 置いてあるんだ。」


「そうなの?あんまり 乗れなくて もったいないね。」

「うん。週末くらいしか 乗れないから。これからは ちょくちょく ドライブしような。」


「うん!自分の車 持ってるって 凄いね。」

「俺も 親に買ってもらったんだ。あず美と 同じだよ。」


「フフッ。翔真の実家 お金持ちなんでしょう?」


「イヤイヤ…あず美の家ほどじゃ ないよ。親父 社長じゃないし。」

翔真は 笑って言ったけど。


「俺の家 そこ。車置いて すぐ来るから。あず美 ここで待ってて。」


翔真は そう言って コンビニに 車を停めた。

翔真が 指差した家は 立派な門構えの豪邸で。


「えーっ!翔真の実家 凄いじゃない。」

「そのうち あず美も 寄ってよ。」


翔真は そう言って 笑うと 

豪邸の中に 車で 入っていった。


多分 翔真の実家は 旧家で 地主なのかな。


翔真から 感じた 居心地の良さは

育ちの良さ かもしれない。


昨日 翔真が 私に言っていたけど。


私達は 2人とも 裕福な家庭で 育ったから。

お互いから 同じ雰囲気を 感じたのかも。


動作や 話し方に 私が 安心できたのは

翔真から ギスギスした 卑しさを 感じなかったから。


もしかして 私達って すごく相性が良いかも。


翔真が 戻ってくるまでの 15分くらい。


雑誌を 眺める私に 翔真は 笑顔で 手を振る。


私が 急いで コンビニから出ると

翔真は 笑顔で 私の手を取った。


「お家 大丈夫だった?」

「うん。お袋しか いなかったから。」


「ゆっくりしていけばって 言われなかった?」

「彼女 待たしてるって 言ったから。」

「うっそー!」

「エヘッ。嘘。」


実家のことを 話したから。

翔真は 少し 解放されているのかな。


私は 実家の事を 話すことは 勇気が必要だから。


「なあに?」

翔真の横顔を 見つめる私に 翔真は 聞く。

「ううん。」


「俺 明日まで 休みだよ?」

「翔真…?」


その夜も 翔真は 私の部屋に 泊まった。





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