翠玉の監察医 癒えない時間
ニ エメラルドのブローチ
星夜と共にアメリカに渡った蘭は、星夜に勧められて知能テストを受けることになった。そこで出たテストの結果に、多くの人が驚いていた。蘭のIQは二百を超えており、十歳にして天才的な頭脳と観察眼を持っていたからだ。

「これなら飛び級しても問題ないね。すごい!」

星夜が微笑み、蘭は「すごいことなのですか?」と首を傾げる。自分の中に入っている知識は、同じ十歳の子どもが持つものではないと蘭にはわからないのだ。

「蘭、君はとても頭がいいんだ。だから高校に一年だけ通って大学に進学しよう」

「了解しました」

進学校として有名な名門の学校に蘭は高校三年生として入学することになり、星夜の借りているアパートの一室で暮らすことになった。蘭はアルバイトができる年齢ではないため、星夜のお金に頼るしかない。

「私が働けたらいいのですが……。申し訳ありません」

「いいよ、気にしないで」

星夜は大学が終わるとすぐにバイトに向かう。休日もバイトを入れることが多い。そんな聖夜を助けようと、蘭は藍子から教わった家事をすることが多くなった。
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