私の意思が固まると、橘さんは次々と物事を進めていく。

「紬、次の休みはいつだ?」

「土曜日ですけど……」

「ん。その日に引っ越しな。それからその日のうちに籍を入れるぞ。あっ、俺の方は特に親への報告とかいらねえけど、紬の方は?」

親かあ……
大学入学以来、節目でメールをするぐらいで、一切交流はない。どうせ離婚ありきなんだから、特に言わなくてもいいか。

「うちもいりません。あっ……」

「どうした?」

伯母にはちゃんとしておかないと。
伯母は、子どもが欲しいっていう私の思いを知っている。

社長を引き受ける際の約束で、いつか未婚で子どもをもうけたいことは伝えてある。それをどれぐらい真剣に捉えてくれてるかは掴みきれてないけれど、繰り返し伝えてきたことだ。それなりにわかってくれているはず。

彼女には真実を打ち明けて、籍を入れることも報告しておけばいいかな。

「伯母にだけは話します。うちの会社は、少し前まで伯母が社長をしていたんです。今は顧問として勤務してるんですけど、元々私が働けない間は交代してもらうことで話がついているので」


「そうか。じゃあ、俺も紬の伯母さんにだけは挨拶しておくか」

「えっ?いいですって」

「そうか?」

訝しげな顔をしたものの、橘さんはそれ以上食いついてくることはなかった。