Romantic Mistake!
本当のフィアンセに






桜庭屋の一階、売り場から離れた応接室のソファに颯介さんとふたりで座る。

ボスから先ほどお葬式が終わったと連絡をもらったが、そのとき印鑑が見つかったこと、ボスから颯介さんにお礼を言って欲しいことを伝えたのである。「わかった」と承諾されたため、今こうしてふたりでボスを待っているところだ。

「申し訳ないな。わざわざお礼なんて」

颯介さんは眉尻を下げて、私につぶやく。

「そうはいきません。これだけ颯介さんやオフィスビルの方々に迷惑をかけたんですから。それに温泉にも行けなかったし。ちゃんと謝ってもらわないとっ」

最後の方で本音が出てしまい慌てて口を押さえると、颯介さんは笑って「そうだね」と賛同してくれた。

数分して応接室がノックされ、小野さんが中へ入ってくる。

「桜庭部長。朝倉様がお見えですが」

本当にちゃんと来たようでホッとした。颯介さんが「うん。お通しして」とうなずき、小野さんは返事をしてもう一度戻っていく。
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