極上御曹司に初めてを捧ぐ~今夜も君を手放せない~
9、ふたりで過ごす時間 ー 優side
「……母さんが来てる?」
仕事を終わらせ午後九時過ぎに家に帰宅すると、梨乃の黒のパンプスの横に見覚えのある茶色のパンプスが並んでいた。
さては、じいさんから話を聞いてやって来たな。
専務が俺の話を拡大解釈して周囲の役員に言い触らすから、今日はその火消しに追われた。
叔父である社長やじいさんにはまだ結婚はしないから騒がないよう釘を刺したのだが、じいさんは事実を確認するため滝川に探りを入れに来た。
話を聞いた滝川も面白がってじいさんに梨乃を紹介して、彼女からクレームのLINEがきて……。
俺の素性は伝えてなかったし、会長が現れて梨乃はさぞかし驚いただろう。
会社で目が合ってすぐに視線を逸らされたのは、そのことに怒っているからだろうか。
それとも、今朝のキスのことがあって恥ずかしがっているのか。
梨乃にキスしたのは自分が彼女に触れたかったから。
すぐに終わらせるつもりが、唇を重ねた瞬間からビビッと身体に電流が走るような感覚に襲われ、キスを深めた。
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