「はぁ……」


「どうしました?どこか具合でも?病院行きますか?」


「あ、いえ。大丈夫です……」



どうしてこうなってしまったのか。


私は今、神崎さんと一緒にショッピングモール内にあるカフェで朝食を摂っていた。


ブランド鶏の卵と国産の希少な小麦を使って焼き上げたというパンを使ったサンドイッチを食べながら、思わず溜め息が漏れる。



ーーあの後、神崎さんは


"むしろ考えていただけるだけで嬉しいです!"


と舞い上がってしまっていた。


しかしいきなり神崎さん宅で寝泊りするのは抵抗がある私のために、神崎さんは隣のオフィスビルにあるというホテルに部屋を用意してくれた。


もちろん泊まったことのないくらいの高級ホテル、しかもスイートルームに案内されてしまった。


宿泊代や諸経費は全て神崎さんが賄ってくれるとのことだけれど、一体いくらかかってるんだ……。


お断りしようにも私にはお金が無いし、帰る場所も無ければ行くところも無い。そもそもこれに関しては私の意見を一つも聞いてくれなかった。


このホテルか神崎さんの部屋かの二択。最初から逃げ場は無かったのだった。


心遣いはとてもありがたい。


ありがたいのだが、ただ落ち着かない。全くと言っていいほど世界が違いすぎてゆっくり眠ることなんて出来なかった。