「文音ちゃん!ちょっと今お得意様がいらしたので店頭行ってくるから、これのデコレーションお願いしてもいいかな?」


「……え、私がですか?いいんですか?」


「毎日練習してたの知ってるし、いつも見てるから大丈夫でしょ。道具は全部そこにあるから」


「……わかりました」



橋本さんからまさかケーキの仕上げを頼まれるなんて。


毎日シフトが終わってから、一時間だけ厨房の端を借りて練習していた。


早く即戦力になりたくて。必死に。


他のパティシエの方が作っているのを間近で見ながら勉強していたのを、皆知ってくれていたようだ。


他の人達は自分の仕事があるからと、私に仕事を回してくれたのだろう。


こんな機会滅多に無い。頑張らないと。


スポンジにクリームを乗せ、決められた配置でフルーツを乗せて。


いくら臨時での仕上げ作業とは言え、とても心躍った。


……やっぱり、スイーツ作りが大好きだ。


クリームを絞る自分の手を見つめながら、嬉しくて何故だか泣きそうになった。