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「いかがでしょうか……」


「……うん。いいね」


「ありがとうございます!」



寛也さんに会った日以来、たまに橋本さんにお願いされてケーキの仕上げを担当させてもらえるようになった。


もちろんボツにされてしまったものもあり、やはり自分の手に馴染んだ長年の癖は中々抜けず【Ciel】との違いに悩むことも多い。


それでも何よりもパティシエとして少しでもお店に貢献できている気がして、嬉しかった。



「それで、今日は全て店頭に並べてもらえたんです」


「……それは嬉しいですね。良かった」


「はい、認めてもらったみたいで嬉しくて」



神崎さんとの寝る前のティータイム。


日によって時間はまちまちだが、ホットミルクを淹れて以来、なんだかんだ一緒に過ごす時間ができた。


お互い力を抜こう、と言い合ったため、口調も少しずつ素に近付いていると感じる。


ダイニングからソファに移動して、向かい合って座って料理の話をしたり、紅茶の話をしたり。スイーツの話もあれば、そこから派生して仕事の話をすることも増えた。


それを最初は楽しそうに聞いてくれていた神崎さんだが、ここ数日は何故か表情が曇ることが多い。



「……私、何か気に触ることを言いましたか?」



今日も曇ったその表情が気になって尋ねると、



「いえ、そうじゃなくて……。すみません。俺がただ、情けないくらいに嫉妬してるだけなので……」



と困ったように眉を下げる。



「……嫉妬?」



どこに?


首を傾げると、神崎さんは眉を下げたまま口角を上げた。