雨の巫女は龍王の初恋に舞う
第一章 十六歳の誕生日
「璃鈴! 何やってるのよ!」


 悲鳴のような声が聞こえて、璃鈴はぎくりと肩をすくめた。

(あらー、見つかっちゃった。でも長老に見つかるよりはましかなー)

 璃鈴は、一回深く呼吸をすると、笑顔で振り返ってぶんぶんと手を振った。


「秋華!」

 自分に向かって岸壁の真ん中で手を振る璃鈴に、秋華は悲鳴をあげた。

「あぶない! 手を離さないで!」

「大丈夫よ。すぐ行くわ」

 真っ青になった秋華が駆け寄ってくるのを見ながら、璃鈴は裳を大胆にひらめかせてまた岩肌を降り始める。


 璃鈴がはりついていたのは、彼女たちの住む里の裏にある岸壁だ。この里の半分は、この高い山に続く岸壁に覆われている。璃鈴はその壁をたった今降りてきたところだ。
< 7 / 313 >

この作品をシェア

pagetop