サンタクロースに恋をした

変わる関係

「はよ」
「お、おはよう」

 次の日の朝、分かりやすくらいに動揺する自分。

 ううん、そもそも好きだと言われて意識しない方が難しい。少なくとも私は。

「なんだよ、意識してんの?」
「はあ? 私が? あんたを? ないないない」

 なんでこんなにも素直になれないのか。なんとなく、素直になったらなったで安藤に負けた気がして、そんな自分の心が邪魔している。

 それより渉先輩に苺大福を渡すことの方が今日の最重要事項で、安藤なんかに気を取られてる場合じゃない。

「じゃ、じゃあ私ちょっと用事あるから」
「あいつのとこ行くの?」

 いきなり真顔になる安藤に、心臓がどきっとする。真顔になる時は、一言言って欲しいよ……。

「違うよ。先生に朝一で呼ばれてるの。ていうか、あいつじゃなくて先輩だからねっ、先輩!」

 渉先輩に会うのは放課後。梨衣名先輩に連絡して、渉先輩に部室に来てくれるように伝えてもらった。

 今日は朝から放課後が待ち遠しくて、まだ朝のホームルームも終わっていないことに焦ったくなる。

 あと6時間も授業をしないと渉先輩に会えない。時間を早送りできればいいのに。
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