縷々
身体の先端の方から冷える夜
首を90度ほど傾けなければならない月
青くも見える大きな月が
私を照らしていた
耳に当たる風は冷たく
頬を撫でる感覚も無かった
アパートの一室から見えるささやかなネオンは
あの大きな満月にのまれていた
温かいものをと思ったが足が動かなかった
フッと力が入らなくなり
その場に座り込んだ
スッと意識が遠くなり
その場に寝転んだ
冷蔵庫の機動音が響く部屋で
私は鼓動を思い出していた
ゆっくりと地に足を着けるような
心地のよいものだった
私の呼吸が荒くなっていった
枯れたはずの涙がこぼれた
止めどなく溢れ続けた
満月が私をのぞき込んでいた
あの時諦めてしまった涙が
そうか私は涙を流せるんだ
流していいんだ
涙と一緒に私を流した
流々 月々 るゝ 縷々
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