QUALIA ー最強総長×家出少女ー
壁掛けの女
ルナはいつも、夜遅くに帰ってくる。

それからまた、朝方には出かけてしまう。

ルナと一緒に暮らして気づいたのは、ルナの睡眠時間が異様に短いことだ。

いや、もしかしたら、部屋に行ってからも眠れずにいるのかもしれない。

ルナのベッドで目覚めた日から、ルナの寝顔を見たことがない。

「顔色が悪いですよ。もう三日もまともに眠っていないですよね」

夜、カフェをのぞくと、麗於さんとルナが話していた。

「また悪い夢を見るようになった…」
「それは、あの日の…?」

ルナはうなだれる。そんな弱りきった姿は見たことがなくて、きっと麗於さんにしか見せない姿だろう。

「どんな夢ですか?」
「いつも通りだ。あの人を“助けられた”夢…」

麗於さんは悲しげな顔をする。

「薬でダメなら、もう一度お医者さんに相談しましょう。もう七年も苦しめられているんですから…」
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