QUALIA ー最強総長×家出少女ー

寝ぼけてるの? 羨ましいくらい長い睫毛がヒクヒクと動く。

眠っていても分かるほど、中性的で美しく、圧倒的なオーラだ。

世間でイケメンと呼ばれている芸能人の知り合いなんて、何人もいる。けど、この人よりオーラのある人を、私は見たことがない。

……そうだ。見覚えがある。たしか昨日、私はこの人たちに拾われたんだ。

「ちょっと、すいません!っ」

なんとか腕から逃れる。色んな意味で汗だくで。シャワーを浴びたいくらい。

「えっ! なに!? この服!?」

明らかに男物の黒い大きなパーカーに、ダブダブのスウェットパンツ。

この人のかな…?

ベッド横のサイドテーブルには、昨日まで着ていた蒼いドレスが畳まれてある。

ねぇ、ちょっと、笑えないんだけど。

「もしかして……」
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