QUALIA ー最強総長×家出少女ー
コーダ
シャワーを浴び、髪を整えた。服装はシルク素材の白のロングドレス。

ヘアメイクさんに化粧と髪のセットをしてもらう。ロングヘアを緩く巻き、後ろをベージュのリボンでハーフアップにする。

鏡に自分の姿が映る。まるで絵本のシンデレラのようで、自分じゃないみたい。

そして何というか、やっぱり私はお母さん似なんだなって思う。

見せたかったな。今の私の姿。大好きだけど、もう会えなくなってしまったみんなにも。

大歓声が会場で起こる。たしか私の前はロシア出身の女の人だ。観客の声を聞くだけで、すごい演奏をしたのだと分かる。

ドキドキと動悸が止まらない。演奏前にこんなに緊張したのは生まれて初めてだ。

「美月琴葉様。そろそろ出番です」

楽屋から呼ばれる。私は舞台袖へと向かう。さっきのロシアの子とすれ違う。お人形のような瞳で、すれ違う私を睨む。

「琴葉」

舞台袖でスタンバイしていると、誰かが私の名前を呼んだ。
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