QUALIA ー最強総長×家出少女ー
人が近づいてくる足音がする。

その人は私の側までくると、ぐったりとした私の体を抱き締めた。

その瞬間、頭に色々なことがめぐった。

そして死のうとしたことを、心の底から後悔した。

ごめんなさい。お父さん。お母さん。

二人の分まで、生きる勇気がなくて、本当にごめんなさい。

けれど、もう遅い。

どんなに後悔したって、時は戻らない。

辛うじて開いた目が最後に見たのは、赤い目をした、ルナの顔だ。

「なんで? ルナがここに……」

そのまま私は、深い眠りに落ちていった。

目覚めることのない、永遠の眠りに。
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