王子なドクターに恋をしたら

これってデートって言うのかな?

次の日、あたしは朝からそわそわしっぱなし。

春はガーデニングや家庭菜園をするお客さんで賑わうというのについ気が削がれて、重い土を落してしまった。
しっかりしてよ!とお母さんに怒られ、ごめーんと急いで溢した土を片す。
しっかりしろ―!と自分で頭を小突いて気合を入れて土を運び直した。
夜和泉くんと逢うことは頭の片隅に追いやって黙々と作業してると、いつもの如くおばちゃん連中が井戸端会議に花を咲かしてる。

「話題の先生の診察受けたのよ~!」と自慢話を始めたおばちゃんの声が入ってきて思わず手が止まった。

「都会の人だからお高く留まってツンケンしてると思いきや、それはもう優しくって!あたしの長い話も嫌な顔せず聞いてくれるし、心配なところを言ったらすぐ診てくれるし、なによりずーっと笑顔なのよ!あの笑顔見るだけで痛みなんて飛んで行ったわ!」

がはは~と豪快に笑うおばちゃんに、そうでしょそうでしょ?と思わず一人で頷いてた。
あの笑顔を見たらみんな病気なんて飛んで行っちゃうに決まってる。
治療なんていらないかも?なんて言ったら和泉くんは呆れるかな?

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