次の日は、ひどい雨だった。
 私は浮かない気分のまま、一日を過ごした。
 さっちゃんにはあらかじめ電話で事情を話しておいた。昨日の話がどのくらいの速さで森さんの耳まで届くのかはわからない。でも届いたらきっと知らんぷりはしてくれないだろう。さっちゃんに迷惑にならなければいいけど…。
 一方で話を聞いたさっちゃんは、気合い十分だった。
「とにかく、るりは絶対に一人になったらダメだよ。いつ何時やつらにねらわれるかわかったもんじゃない」
 まるで森さんたちを刺客が何かみたいに言うさっちゃんに私の緊張は少しだけほぐれた。
 でもそんなふうに少し警戒していたのは私だけで日中はほとんど普通通りにすぎた。
 移動教室の時に一年生の女の子たちがヒソヒソ話をしながらこっちを見ているような気がしたけど、直接何か言われることはなかった。
 そうして一日無事に終わると思った頃に事件は起こった。
 さっちゃんに絶対に一人になるなと言われていた私だけど、気がゆるんでいたのかもしれない。掃除のあと一人でゴミ捨てに行ったんだ。
 ゴミ捨て場は校舎の裏にあって人気がない。雨が少し小ぶりになったのをいいことに私は傘をささないでゴミ捨て場に走る。そしてそこへごみを捨てて、さぁ戻ろうと振り向いたとき、教室までの帰り道はふさがれていた。
 怖い顔をして傘をさして立っている森さんだった。
 森さんの後ろにはいつものクラスメイトが二人。それから、昨日クリスタルロードで会った一年生の三人もいた。
 しまった!と私は思った。
 油断した…。
 私は周りを見回すけど、残念ながら誰もいない。森さん達の追求をひとりで切り抜けるしかなさそうだった。
 森さんが、怖い顔のまま口を開いた。
「私達が何を言いにきたのかわかるよね?」
 私はうなずくことも首を横に振ることもできずにただ黙り込むことしかできなかった。
「何か言いなよ」
 後ろにいるクラスメイトの一人が言った。
 それでも私は何も言わなかった。
「私達のこと陰で笑ってたんでしょ」
 森さんが真っ赤な顔で私をにらむ。
 やっぱり…。
 昨日の悠馬の言い訳は完全に忘れ去られているみたいだ。もう彼女達の間では私と悠馬は隠れてつきあってるってことになっているみたい。
 まぁその通りなんだけど…。
 私はため息をついてから口を開いた。
「笑ってなんかいないよ。私と悠馬はそんなんじゃないから」
 そう言って、教室に戻ろうとするけど女の子達がとうせんぼをするように広がって、ダメだった。
「通してよ!」
 私はちょっと強い言い方で彼女たちに言う。だんだんと雨が強くなってきた。このままじゃ、傘をさしていない私はびしょ濡れになっちゃう。
 私の中にいらだちがつのっていく。
 ただ好きな人と一緒にいただけなのに、どうしてこんなことまでされなきゃいけないの?
「ねぇ、本当のことを言いなよ。悠馬君のことが好きなんでしょ?バレバレだよ。それなのに私は関係ないって顔してその態度がムカつくのよ!」
 森さんが顔を真っ赤にして私につめよる。
 いつもの私なら恐いって思ってただろうな。でも今はなぜか全然恐くはなかった。
 反対に森さん達に対する怒りがこみあげてきた。