お見合いは未経験
番外1:真奈ちゃんの初恋
「真奈!あなた、そんなことでどうするの?」

どうするの?と言われても…。

真奈は男性が苦手だった。

人見知りなので、街中で知らない人に声を掛けられるのもいやだ。
実家がそれなりにお金を持っているし、欲しいものは自分で買える。

アクセサリーも余り好きなわけではないし、バッグなどは自分の好きなものを大事に使いたい。
知らない人と食事をするなど、もってのほかだ。

それは、ナンパとプレゼントと合コンって言うんじゃないの?と同僚には笑われたが、
苦手なものは苦手なんですっ。となる。

「お見合いくらいしかないわねぇ。」
母にため息をつかれて、真奈は必死で首を横に振った。

「一生1人、という訳にはいかないでしょ。」
「でも、お母様…」
「でも、じゃないでしょ!」

母に怒られたその数日後。
「お父様がいいお話を持ってきて下さったわよ。」
上機嫌な母に捕まった。

相手は取引先の銀行員だと言う。
取引先なんて、また無茶言ったんじゃないのかしら。

「支社長さんも、オススメなんですって。30代で次長をされてる方らしくて。」

30代の商銀の、次長…。
どこがオススメなんだろう。

お断り、しよう。
相手も本当にエリートの引く手あまたならば、こんな自分でなくてもいいだろうと思うし、そもそも父がごり押しした気配がする。
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