友達の夜、恋人の朝、あいまいな夜明け
---un goût de rêve
大学のゼミで一緒だった、タカユキという友達とのこと。


あるとき、「ゼミの仲間で飲もう!」って約束をしたのに、私もタカユキも、どういうわけか、誰も誘わないまま当日が来た。

「まぁ、二人でもいいんじゃない?幹事とか面倒だし」


なんてことを言い合って、結局二人で穴場の居酒屋に。


今となって思うと、妙に不自然な状況だった。


もしかしたら、お互いに無意識のうちに


「ほかの人がいないほうがいいかぁ」


って、どこかで思っていたのかもしれないよね。



初めてのさし飲みは、結構楽しくて。


「夢の味」という名前のフランスの赤ワインをボトルで注文した。

「夢の味を飲むと、実現しそうにもないくらいの素敵な夢を見ることができる」そんなことが、フランス語でラベルに書いてあった。


私はお酒に弱いくせに、たくさん飲んじゃった。









< 1 / 12 >

この作品をシェア

pagetop