オフィス棟に入り、TAコーポレーション本社が入っている階へと向かう。
初めて来た日は、時間も遅かったことから受付には人がいなかったが、今日は明るい日差しが降り注ぐ広いエントランスには、綺麗な受付の女性が2名座っていた。

「あの、高遠副社長とお約束をしているのですが」
その言葉に、綺麗な顔の女性は一瞬だけ表情をこわばらせた。

「副社長とでございますか?」
すぐに笑顔を向けたが、女だからわかるといえばいいのか、いかにも値踏みをするような視線を向けられている気がする。

「はい」
婚約者とでも名乗るべきなのか。そう思うもそんな勇気もでなくて私は受付の女性の返事を待つ。
パソコンを操作して、予定を確認していた手がとまり、視線が私を捉えた。

「今日の予定にはありませんが……」
その言葉を聞いていると、不意にざわざわとなにかざわめきが奥から聞こえてきて私はその方を見た。

「結衣」