翌日の朝、光輝さんを送り出すと私は今にも降りだしそうな空を見上げた。

一通りの家事を終え、いつも通り語学の勉強をしようとするも、全く集中できない。
小さくため息を付くと、私は教科書を閉じた。

そんな時、私のスマホが音を立てる。こんな昼間にかかってくることなど滅多にない私は驚いてディスプレイに目を向けた。

宛名の出ていない携帯の番号。
何か良くない気がして、出るのを躊躇するもそれは意味がないことのようにも感じた。
そう思うと、私はキュッと唇を噛んだ後、スマホの通話ボタンを押す。

「もしもし」
『結衣さん?』
それは透き通った女性の声で、私の名前をさん付けで呼ぶような知り合いはいない。

「はい」
警戒しつつ返事をした私とは対照的に、その声の主明るい声で言葉を続ける。
『今から少しお時間あるかしら? 私は加納瑠璃子申します』
話し方はとても丁寧だが、有無を言わさない物言いはきっとNOを言われ慣れていない人だと想像がついた。