ひとめぼれっていった?

私は光輝さんの腕の中で、呆然としていた。

光輝さんのような人が私なんかに一目ぼれするはずがない。
そうは思うも、初めてみるかもしれない、完全に熱を孕んだ光輝さんの瞳に私の思考は奪われる。

「ねえ、結衣。俺はうぬぼれてもいい?」
会社の雰囲気を纏う光輝さんはずるい。完全に男を感じさせるその言葉、雰囲気、口調、すべてが私から色々な思考を奪っていく。

加納さんに言われたことも、身分違いなど、色々な問題や躊躇する理由はあったはずなのに。

今は何も考えることが出来ない。いつもの可愛らしい光輝さんは影を潜め、そこには妖艶で完璧な一人の男性がいた。

「こんな時に、会社の光輝さんはずるい」
「気づいていたんだろ? こっちの俺も俺だって」
会社での怖い光輝さんも、家での甘い光輝さんも、すべてが光輝さんなのはわかっていた。

「そうだけど、この光輝さんだと何も考えられなくなる」
視線を逸らしつつ、バクバクと煩い心臓の音を隠すように、早口で言葉を発した私に、光輝さんの唇が綺麗な弧を描いた。