「寛貴、また会おう」
「本当にいろいろお世話になりました。これからもよろしくお願いします」
完璧なスーツ姿に、寛貴も貫禄を感じたのか、きちんと姿勢を正すと光輝さんに頭を下げる。

「ああ。じゃあ結衣行ってくる」
柔らかな笑顔を向けると、そっと私の手を引き寄せ触れるだけのキスをする。

「おい、弟の前でやめろよ!」
「光輝さん!」
さっきまで尊敬のまなざしで光輝さんを見ていた寛貴は、シスコンぶりを遺憾なく発揮すると、光輝さんを睨みつけていた。

そんな寛貴をみて、光輝さんは大笑いをしている。

両親の死後、こんな風に誰かと一緒に笑いあったことがあっただろうか?

私は嬉しくて、泣き笑いで光輝さんに手を振った。