あの日から、急激に私の周りは慌ただしくなった。
初めからパーティーへと同伴するのが仕事だったはずだが、いっこうに準備をしてこなかった私は、西村室長に指示されながら、美容室やらエステやらへと行かされていた。

『少しでもマシになりたいでしょう』
冷たさの中にも、温かさを感じてこの人もまた不器用なだけかもしれない。
そんなことを思いながら、光輝さんの横に少しでも恥じない自分でいるためと、ありがたくその好意を受け取った。

幼いころの淡い記憶の中にあるような、ドレスサロン。
嬉しそうに選んでいたお母さんを思い出す。それが今自分の身に起こっていることが感慨深かった。

あたりまえに思っていた幸せは、一瞬でなくなることを知った。
とても悲しいことだったが、両親が亡くなったあの日から、健やかに生きることがどれだけ幸せなことかを気づけた気もする。