あの日から私と光輝さんの生活が始まった。数日が経ち光輝さんとの生活にも少しずつ慣れてきたと思う。

仕事の忙しい光輝さんと顔を合わせるのは、朝晩の数時間だけだが、婚約者というよりは、今は姉弟という感じもする。

「結衣、おはよう」
「おはようございます。珍しいですね。起こすより前に起きられるなんて」
まだスエット姿であくびをしている光輝さんは、まだ少し寝ぼけているのか目をこすっている。

まるで子供に言うようなセリフに、光輝さんは少しムッとした表情を浮かべた。

「たまには俺だって一人で起きられるよ」
そう言いながら洗面所へ歩いて行く光輝さんに、私は後ろから声を掛ける。

「朝食の準備をしますから、急いでくださいね」
一番初めに頼まれたことは、寝起きの悪い光輝さんを朝起こすことだった。

初めは寝室に入ることにも抵抗があったが、今は弟を起こすのと変わらない気がしている。