今夜はずっと、離してあげない。
出逢った夜





─────この場合、どうするんだろう。


そんな疑問が頭の中に浮上して、それをすぐさまかき消した。



綺麗な銀色に染め上がった髪色は、月光に輝いてきらめいていて。

その真反対と言っても過言ではないグレーよりの黒い瞳は、しっかりと、目の前に立つ私を射抜いていた。



「…………、」

「…………」



お互い、無言。

ひたすらに沈黙の時間が続いている。


こんな場面ははじめてだし、なにより何を話せばいいのかわからない。

友達なんて、もう何年もできた試しなどなかったから。




……春は出会いと別れの季節とは言うけれど。


バイト終わりだからと公園を突っ切ろうとしたら、ベンチで不良少年がくつろいでいて、なにかを訴えかけるように無言で見つめられるなんて、誰か予想できました?


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