やり直せる?
10▶▶おまけ

▶▶要side


クリスマスイブの日
社用を済ませた帰り····

まったく、独り身だと思って
こんな日まで使われてる
笑えるな····

クリスマス····とか···
子供が···小さい····とき···?···
もう、思い出せない····

それほどに家庭を省みる事が
なかった····と、言う事だ。

こんな風だから
愛想を尽かされるんだな·····

イルミネーションの綺麗な場所に
遭遇する。

その中に、
見知った顔を見つけた。

ニコニコしながら
イルミネーションを見ている
その姿を見て、
こちらも口角が上がるのがわかる。

こんな顔をするんだなぁ
40を過ぎても
キラキラした目が····
綺麗な顔に映える
いつから、妻の顔を見ていなかった
のかと·····

お一人ですか?と、尋ねると
待ち合わせです。と、答えを聞いて
落胆している自分がいた。

待ち合わせの人が来るまで
ここにいても?と、尋ねると

はい、ここは公園ですから、と。
ありがとう。と、言って
束の間····二人並ぶ姿に心が
高鳴るが····
イルミネーションにもう一度
目を向けると····

「紗英。」
と、優しい声

横に立つ私にチラリと視線を向けながら
彼女を抱き締めて····

遅れた事を詫びていた。
彼女は、イルミネーションを
みるなんて····何十年ぶり···だと。

行こうか、と男性が
彼女の手を握り歩き始めた時
彼女がポケットから
小さな包みを私に渡してきて
風邪などひかないように。
と、言葉と····ともに····

ありがとう····お幸せに····

やっと、言えた
妻だった彼女へ。

私と一緒にいるときには
ありえなかった····

外で···人前での····抱擁
手を繋ぐ動作

少し先で彼女が言った
好きだよ。の言葉に
男性が、彼女の頭にキスをする

こんな関係を彼女は
願っていたのだろう。

母でも····
妻でも····あるが····
一人の女性なんだと······

彼は、きっと、この先、何十年と
過ぎても、変わらずに
紗英を愛し、
それを全面に出して
伝えて行くだろう······

紗英····幸せに·····なって···ほしい····

二人の後姿を少し見届けて
もう一度、イルミネーションに
目を向けてから帰宅をした。
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