やり直せる?

▶▶紗英side


お腹が····なんとなく····痛い·····

佳英ちゃんも·····かな·····

貴史に連絡しながら
時間をはかる

佳英ちゃんにもかける
やはり、佳英ちゃんも
痛みがあるらしい

私は、経産婦だから
少し早く病院へ。

病院からも、そう言われていたから
私が分娩室に入る頃
佳英ちゃんが病院に到着した。

貴史は、銀行を抜けて来て
立ち会いをする。

久しぶりの痛みに
気が遠くなりそうになり
貴史に支えられて
「紗英ちゃん、次、頑張るよ。」
の先生の声に······息む·····
オギャア・オギャアの元気な声
「綺麗な顔の男の子だよ。」
と、私の胸の上に
貴史は、涙をためて
私と赤ちゃんを抱き締め
「望んでいなかった。
紗英がいるだけで良いと。
でも、ありがとう。
俺にこの子をくれて
この感動をくれて。」
と、言う貴史の涙は、
キラキラと綺麗だった。

赤ちゃんは、綺麗にされて
新生児室へ
お義母様とお義父様に
綾華と涼君
洋介とご対面をして
みんなに喜ばれていた。

貴史が病室に来てくれたから
佳英ちゃんの所へ車イスで
連れて行ってもらった。

佳英ちゃんは、分娩室に入るとこで
「佳英ちゃん、待ってるよ。」
と、言うと
うんうんと頷いていた。
拓斗さんにお願いします。
と、言って待つ

拓斗さんも立ち会いをする。

何度も佳英ちゃんの苦しげな
声が聞こえる
「お父さん、お母さん、
お姉ちゃんを守って。
お願い、お姉ちゃんを少しでも
楽に産ませてあげて。」
と、何度もお願いする。

どのくらいたっただろうか

オギャア・オギャアの声が
聞こえて
ホッとする

佳英ちゃんの赤ちゃんは、
女の子だった。

分娩室から先生が出てきて
「まったく、お産後なんだから
無理はダメだよ。」
と、言われて
貴史に連れて帰られた。

私と佳英ちゃんは、
同じ部屋にしてもらっている。

先にベッドに入り佳英ちゃんを待つ
その間に貴史は名前を考えていた。
楠木 史也(ふみや)
史は、貴史の名前に入っているが
私達の父が史(ちかし)だった。
貴史の優しさに涙が出る。

少しして佳英ちゃんが
運ばれてきた。
酷く疲れている
「大丈夫?」
と、訊ねると
何度も頷いた。

拓斗さんも病室にきて
「佳英、紗英、お疲れ様」
と、言って
佳英ちゃんに
「名前は、赤沢 智英(ちえ)。」
と、拓斗さん。

佳英ちゃんは、目を開いて
涙を流した。
私達の母が智美(ともみ)
だったからだ·····

私達姉妹は、本当に
素晴らしい人を夫にもったのだと
二人で喜んだ。

お義父様とお義母様は、
二人の赤ちゃんを見て
喜んで帰って行った。

貴史も拓斗さんも
中々、帰らずに
看護師さんに
「お産の後は寝かせてあげましょうね。」
と、言われて
渋々帰って行った。

帰り際に、キスを忘れずに·····

     ······笑える·····。。
< 39 / 41 >

この作品をシェア

pagetop