菜々花さんとの同居を始め、一夜明けた。

俺は朝六時に目が覚め、寝室のベッドから起き上がる。
二度寝はできそうになく静かに洗面台で顔を洗い、白いセーターと黒いパンツの私服に着替え、リビングのソファに移動した。

ここに座ると、昨夜のことを思い出す。

彼女とキスをした。

自分の唇に触れ、そのときの感触をなぞる。
キスなんて何年ぶりだっただろう。あんなに胸が高鳴ったのは初めてだ。

俺の勘違いでなければ、彼女からキスを望む素振りを見せてくれたように思う。
……すごく、かわいかった。もっとしたいと思ったが、これから徐々に、彼女の反応を見ながら進めたい。

紅潮した彼女の頬や、潤んだ瞳。あれは俺を好きになってくれたという意味だったのだろうか。
いや、雰囲気に流されている部分もあったから、断言はできない。

俺は彼女と結婚して、宿った命を共に育てていきたいが、それにはまずこの二週間で、俺を好きになってもらわなければならない。