車に乗って扉を閉め、シートベルトを装着。
私もフロントガラスをじっと見つめた。
近藤さんは悪い人じゃないが、この人の隣だとまったく会話が思い付かない。

なぜならこちらから話しかけるまで、彼女はとくに会話をしようとはしないからだ。もしかしたら私の迎えを面倒だと思っているかもしれない。

「……すみませんね、いつもお迎えに来てもらっちゃって」

毎回の定形の文句を、今日もつぶやく。

「いえ」

素っ気ない返事をされ、車は出発する。
私はやはり黙っていようと思い、うつむいてウトウトするふりをした。

なんとなく……なんとなく、だが、近藤さんは私の世話とやらが適当になっている気がする。

初日はしきりに「大丈夫ですか?」と聞いてくれて、料理の好き嫌いまで質問してくれていたのに、今はとくに私にそういう言葉をかけてはくれない。

私の体が意外と大丈夫だと思っているだけならそれでいいのだが、なにか機嫌を損ねるようなことをしてしまったのではないかと不安だ。

そして、実はそれは、隼世さんに対しても感じている。