翌朝出社すると、すでにマネージャー室で斗真さんが待ち構えていた。

「な、なあ、星野さん」

彼はこちらへ寄ってきて、背後をウロウロしだす。
私は荷物を置き、ボールペンや手帳など必要なものをバッグからポケットへ移しながら返事をした。

「なんですか」

昨夜のことを聞かれるのは分かっているため、声のトーンは低くなる。

「了から聞いたぞ。あいつの誘いを断ったって? 信じられない……。兄貴に未練があると泣きじゃくったって、本当なのか?」

ああ……竹澤さんたら、そんなことまでバッチリ報告しちゃうなんて。斗真さんから隼世さんに伝わったら、しつこい女だと思われて余計に嫌がられそうだ。

「……隼世さんには言わないでください」

「まさか、兄貴に本気だったのか? 御曹司なら誰でもいいわけじゃなくて?」

「もう今さらですから。すべて終わった後ですので」

傷口に塩を塗り込んでばかりくる斗真さんの問い詰めが鬱陶しくなり、私は話を変えることにした。