その夜から土日を挟み、月曜日になった。

課長はあの話を聞いてどう思っただろう。
秘密にしてと書いたが、彼が他言するとは考えていない。
しかし困惑させて新たな悩みになってしまったなら可哀想に思え、話したことをほんの少し後悔している。

もし気に病んでいるようだったら、再度「忘れてください」と念を押そう。

いつものように出勤し、パートさんに揉まれている課長を遠目で見た後、休憩室に逃げ込んでいく彼の背中を追った。

「おはようございます」

なんとなく照れくさくて、彼のうしろ姿に声をかけてすぐ、速足でコーヒーメーカーの前へ向かう。
「おはようございます」と返され、彼は隣に立った。

チョロチョロと注がれていくコーヒーの黒い水流を砂時計のように苦しく感じながら、ふたりで黙り込む。

視界の端では、そわそわと落ち着かない課長の気配を感じる。

「課長、明日は静岡に出張ですよね?」

別の話題で、昨夜のことを誤魔化すことにした。