【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】
おさとうろくさじ

どんなに頭が回らなくても、タスクは減ってくれない。

スケジュール管理して緊急度の高い順に進めているけれど、ざっとタイムスケジュールの計算をしただけでも、明らかに定時で終わるような分量ではない。


「こまった……」


時刻はそろそろお昼休みに入ろうとしているところだ。朝の段階から、お昼に一時間休憩をとったら、とても間に合わなくなってしまいそうな気がして焦っていた。

遼雅さんが無理をしてまで時間を空けようとしているのに、私が残業になってしまうなんて、どう考えてもよろしくない。

今朝来るまでに何度か今日の作業工程を考えてきていたのだけれど、デスクについて、パソコンを立ち上げた瞬間にがらがらと崩れてしまった。


“今日までにお願いします”


夢中でパソコンに向き合って、ふいに手が止まるたびに遼雅さんの声を思い出して振り払っている。

酷使した目が乾燥して割れてしまいそうだ。何度か瞬きして軽く息をつく。

12時をすこし過ぎてしまっていることに気付いて、顔を上げた。

どう考えても終わらないと思っていた作業の8割が終わりかけている。ほっとして、パソコンにロックをかけてから席を立った。

今日のお昼は約束をしていた。

毎週金曜日のお昼は一緒にと決まっているから、鞄から財布と携帯を取り出して、扉へと足を踏み出す。


最悪の場合、お昼を返上して働くことになるかもしれないと思っていたけれど、何とか回避できそうだ。


短い道を歩きながら、ランチを食べたあと、どうやって業務を捌くべきかについて、ぼんやりと考えていた。

扉を開こうとドアノブに手を出したそのときに、勝手に扉が開かれてしまった。


「あ、れ」

「……きみか」
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