「このままだと、〝俺〟自身も、領地の外にいる人間が嫌いになってしまいそうですから」

 ふいっと顔をそむけて、ツヴァイツァーはそう答えた。

 拒絶。失望……決定的な溝を作ったのだと知ったハイゼンは、今にも死にそうな顔で、慌てて頭を下げた。

「このたびは、大変申し訳ございませんでしたっ。ご、ご意向については、必ずや、すぐに陛下へお伝えさせていただきます」
「それから、『残念でなりません』とも付け加えてお伝えください」
「え?」
「リリアには、同じ年頃の、貴族の友達も作ってもらいたい気持ちはありましたが……こちらが思っていた以上に、彼女達にとって生き辛い世界なのかもしれないと、私が感じてしまったのも残念でなりません」

 ツヴァイツァーは、ハイゼンに言い捨ててそばを通り過ぎた。

 空中にいるリリアは、いつの間にか、背を丸めるようにして泣いていた。声を上げて泣きじゃくる姿は、訪問者を立派に出迎えて、喧嘩までした少女とは全くの別人にも見えた。