第二王子、サイラスと最悪な初対面を果たして一年が経った。

 リリアは、彼と会うことがないまま十三歳になった。その間に、サイラスはめきめきと魔法力を磨き、誕生日と同時に最強の魔法使いの名を得ていた。

「……なーにが『最強の魔法使い』よ。まだ魔力酔いを起こさせる未熟者のくせに」

 久々にその名を新聞で見た時、リリアは気分が悪くなって愚痴った。学院デビューだというのに、嫌な前触れだと思った。

 あれからちょうど一年、令嬢として、王宮の近くにある学院に通うことになった。

 高度教育が受けられる三年制の学院に、今期、勉強に集まった令息令嬢は約百五十人。その中でリリアは、サイラスと二回目の対面を果たした。

 もちろん、すぐに目をそらして言葉など交わさなかった。

 ――サイラスの一件で、結婚なぞクソくらえと闘志に火が付いていた。