あなたの願い、残酷に叶えます。
紗弓と景子~景子サイド~
あたしと紗弓は高校1年生のころから仲が良かった。


なんとなく、馬が合うのだ。


一緒にいることが負担にならない存在。


無理して話題を作る必要もないし、無理して笑う必要もない。


同じ空間に無言でいても、その空気は重たくならない。


そんな子は数少ない。


あたしにとって親友と呼んでいい存在。


そんな紗弓がある日無断で学校を休んでしまった。


それは1年生のある日のことだった。


「なんだ、辻川は今日は休みか」


担任の先生がそう呟き、名簿に記しを付けている。


「吉口、なにか聞いていないか?」


「いえ、なにも聞いていません」


あたしは答えながら紗弓の机へ視線を向けた。


いつもそこにいるはずの紗弓がいない。


不安になり、机の下でそっとスマホを操作した。


《景子:紗弓、風邪でもひいた?》


そのメッセージにはなかなか既読がつかなかった。


1時間目の授業が終わり、2時間目も終わり、昼休憩が終わっても既読にならない。


放課後まで待ってもう1度確認してみたけれど、やっぱり読まれていなかった。


あたしはそれを確認して「よし」と、席を立ちあがった。

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