覚醒者3号-最終調査報告-

矢崎

俺がハンドシグナルによってアルファ、ブラヴォーの両チームに指示を出すよりも早く。

「隠れて!」

覚醒者2号…黛まどかの声で、連中は回避行動に移った。

「くそ!発砲!」

俺の声で、部下達がフルオートでMP5のトリガーを引くものの、弾丸は虚しく空を切った。

「忌々しい!予知しやがったか!」

俺は毒づいて咥えていた煙草を吐き出す。

「弾幕を張りつつ接近!決して射線を途切れさせるなよ!」

俺が言うと、アルファチームの6人が発砲しながら前進し始める。

ブラヴォーの6人はその場で待機したまま、援護を行った。

弾薬装填の際でも、誰かが射撃を続ける事でフォローする。

途切れる事のない発砲に、覚醒者どもは物陰から姿を見せる事はなかった。

そりゃあそうだろう。

覚醒者とて、肉体は普通の人間と違いはない。

鉛の弾をぶち込まれりゃ痛いだろうし、当たり所が悪ければ死ぬ。

このまま追い詰めていって、捕縛してしまえば任務は完了だ。

あとはボスの前に引きずり出してしまえばいい。

…何とかモルモット扱いされるのは避けられそうか。

俺は安堵の溜息をついた。

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