【完】イミテーション・シンデレラ
Act Side昴  You don’t know

Act Side昴  You don’t know




いつも余裕だねって言われがち。
昴は放っておいても、仕事をちゃんとしてくれるから。  小さい時からずっとそうだった。

少しだけ過去の話をしてもいいだろうか。 俺は東京の下町で4人兄弟の長男として産まれた。

共働きの両親が忙しかったため、弟や妹の面倒を見るのは、もっぱら俺の役目で両親からも昴がしっかりしてて頼もしいわ、といつも言われ続けていた。

学生時代から、学級委員やら生徒会に選ばれて、バスケ部でもエースだった。
優等生の姿を誰にも崩した事がなかった。

誰にでも優しくて、評価も高くって、良い子を演じるのは幼い頃から身に着いた習性の様なもんだった。


そんな順風満帆な人生。

高校を卒業したら大学に進学して、良い企業に入って働き詰めの両親に楽をさせてあげたい。

そんな風に将来の事を考えていた頃、たまたま遊びにいっていた原宿の街で芸能事務所にスカウトされた。
それは人生で初めての挫折への始まり。

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