―― 二章 冷酷無慈悲の鬼の眼鏡




 人生において、こんなことがあっていいのだろうか⋯⋯。

 言うなれば、私は、現在絶対絶命の危機にある。



「えーー、えっとぉ⋯⋯、今日から陽咲(ようざき)部長の業務サポートを務めます。竹本 結花(たけもと ゆいか)です。よろしくお願いいたします!」

「⋯⋯⋯⋯」


 もう何度目だろう。中央にある応接テーブルの前で、膝に額をこすりつけるようにして勢いよく頭を下げる。絶対零度と言える冷ややかな眼差しに足がすくみそうだ。

 あれから眼鏡を壊してしまった相手こと――陽咲 (ようざき )部長が私を連れてきたのは32階の『個別役員室』

 重圧なウッド調の家具で揃えられた、デスク二つと本棚、それから応接セットが配置される、至ってシンプルなお部屋。おそらく、窓際奥のコーナー型のプレジデントデスクが部長のもので、手前のシンプルなデスクが現在のサポートさんが使用しているものだろう。手前に限ってはパソコンの電源がついていて、さきほどまで使用していた形跡が残っている。