東京ヴァルハラ異聞録
生きる為に
沈む……水の底にゆっくりと。


暗い暗い、闇の中に。


と、思ったら急に感じた浮遊感。


暗い闇の中で、光が広がって。



「ぷはぁっ!!はぁ……はぁ……ああ、なんだ。夢か」


びっくりした。


東京に似た街にいて、そこで殺し合いが行われてるとか。


犬みたいな化け物に食われてしまったなんて、本当に嫌な夢だよ全く。


フフッと笑いながら身体を起こし、ベッドから足を下ろした。


……そう言えば、俺はいつ寝たんだ?


拓真と麻衣と別れたのはいつだ?


そもそも……この部屋は俺の部屋じゃないよな。


頭に手を当て、部屋を見回すと、ガラス張りのユニットバスにテレビ。


まるでここは……ホテルのような造りじゃないか。


慌てて窓に駆け寄り、外の景色を見てみる。


するとそこには……秋葉原の街。


万世橋にカラオケ屋、家電量販店が見えたのだ。


「待て待て、どうして俺はこんな所にいるんだよ……あいつらが運んだのか?だったら何の為に……」


考えてもわからない。


拓真と麻衣が、俺をここに運ぶメリットは何なのだろうか。


とにかく、どちらかに聞けばわかるだろう。


そう思ってポケットからスマホを取り出した俺は……それを見て、言葉を失った。
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