東京ルミナスピラー
父と子
聖戦が始まり、南軍に西軍の人間がなだれ込んで来た。


それに乗じて俺達は、ホテルを出て光の壁へと走った。


「葵! 上野駅の歩道橋だ! 舞桜と戦った場所で待ってるから、その嬢ちゃんを送ったらそこに来いよ!」


「はい! 直ぐに向かいます!」


光の壁を越え、西軍に入ったところで拓真に言われて頷くと、拓真と舞桜は笑みを浮かべた後に、とんでもない速度で北軍の方へと走って行った。


俺は灯と夕蘭を連れているとはいえ、どんな速さだよ!


そりゃあ、俺を見失うことなく尾行出来るはずだよな。


大通りを通って北上するけど、道のあちこちで小規模な戦闘が発生している。


目的が違うから、無視してさっさと進むべきなんだろうけど。


「灯! 夕蘭! 南軍の人間がいたら攻撃しろ! 深追いはせずに、一撃で仕留められなかったら無視だ!」


「え!? う、うん!」


「少しでも強くなれってことね。任せなよ!」


ここに来て、千桜さんの言葉が俺の救いになっている。


そうさ、これは息の根を止める殺し合いなんかじゃない。


強くなるための訓練なんだ。


その強さを必要とする時が、今だってことだ。
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