翔ちゃん雨だよ一緒に帰ろ?

「漫画の中の王子様の比じゃない。翔ちゃんは別腹ってこと」


「別腹って……他にいい表現ないの?」


「じゃあなんて言えば伝わるの?この気持ち」


頭を抱えて本気で悩み始めた。


「うまく言えないんだけど、好きがどんどんふくらんでく感じ……大好きだよ?わかってくれる?」


好きな子から熱くみつめられて、そのうえ愛の告白をされるという不意打ちをくらってすげードキドキしてる。


「いや俺のが、もっと好き」


上目遣いで熱く見つめてくるなんて、いつどこで覚えたんだ?にしても俺のカタコトもひどい。もっと語彙力あったと思ってたけど。


「あのさ。コンビニ行かない?冷たいコーラ……飲みたい」


やばい、心臓も理性ももたないかも……そう思って慌ててそう言ったら、美緒は目をキラキラさせた。


「うん行く!わたしも買いたい物があるんだ」


余裕がないのを知られないよう、こっそり息を吐いた。


美緒に笑顔が戻ってよかった。
また一緒に笑いあえてよかった。


小さく雨音がしてる。
外に出てちょっと頭を冷やさないと。
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