無口な彼の熾烈な想い

兄夫婦の策略

『お疲れさん。鈴たんたら、毎度毎度いい仕事するけど今回は更にグレードアップしたものが完成しましたねえ』

鈴が動物園で描き上げたイラストをコンピューターへスキャンし、作画ソフトで修正をいれた画像を送信すれば、すかさずかなえから返信のSNSトークが返ってきた。

『基本的な作画はこれでオッケー。あとは私のイラストの原案を送るから、そこに銀狼とホワイトタイガーを背景に指定したポーズで描いてほしい。ラフがあれば細かいところはこっちで修正するからさ』

かなえから送られてきた、本の表紙と挿し絵になる画像は、動物以外のイラストは完成していた。

それ単独でも十分評価されるのではないかと思われるくらいハイグレードなものだ。

ここに鈴が描いた虎と狼のイラストが加わると、かなえワールドを壊しそうで怖い。

だが、デジタル画像なら、鈴の描いた絵をデジタル作画ソフトに取り込むことで、かなえが好きにアレンジできるから大丈夫であろう。

こうして離れていても遠隔で意見交換しながら適時の作業ができる。

紙媒体に頼っていた高校生時代に比べればずいぶん便利になったものだ。

あの頃は、かなえの家に泊まり込んで何日も徹夜作業に付き合わされたこともあったっけ・・・。

鈴はブラック企業並みに働かされていた当時を思い出して遠い目をした。
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