ライオン少女は宇宙系男子を落としたい



叫びながらベッドから起き上がると、そこには兄ではなく、健となぜか明莉の姿があった。


夢……?
っていうか、なんで明莉がいるの?



「詩恩! 大丈夫⁉ うなされてたよ⁉」

「あぁ……なんか夢で下手くそな歌聞かされてた……」



頭を押さえながら答えると、明莉がチラッと健の顔を見た。



「……ごめん。それ俺のせいだ」

「は……?」



話を聞くと、俺は玄関で倒れたしまったらしい。

そのまま健がベッドまで運んだのだけど、苦しそうにしていたので癒そうと歌っていたんだと。


だから、月とか星とかベストフレンドって聞こえてきたのか。

っていうか、健ってこんな音痴だったのか。



「それより、なんで明莉がいるの?」

「あぁ! 詩恩に服返したいって言ってたから、一緒に連れてきちゃった!」



健が説明していると、明莉が紙袋を渡してきた。



「……この前はありがとね」

「ん」



紙袋を受け取り、短く返事をした。



「……私のせいで詩恩に風邪引かせちゃってごめんね」

「別に……そっちは?」

「大丈夫。バカは風邪引かないって言うし……」

「フハッ。自分で言うのかよ」
< 98 / 242 >

この作品をシェア

pagetop