奥手な二人の両片思い
神頼みとバレンタインの計画
怜也side



盛り上がったパーティから丸1週間が経ち、新しい年を迎えた。



「神様、明けましておめでとうございます。上川怜也と申します。どうか僕に告白する勇気を与えてください。お願いします」

「おい、丸聞こえだぞ」



手を合わせていると、隣にいる姉に肘で脇腹を突っつかれた。


今日は家族全員で初詣にやってきたのだ。


参拝する時に自己紹介するといいと聞いたので、早速心の中で名乗ったのだけど……思いが強すぎて声に出ていたみたい。



「ふーん、神頼みするくらい告白したいんだ」

「そーだよ。告白したことがないみゆ姉には、俺の気持ちなんてわからないだろうね」

「多分一生わからないと思う」



父親に叱られた後、姉は男遊びを控えるようになり、言葉遣いも少しマシになった。

以前は毎週のようにデートしていたんだけど、去年の秋頃からやめたらしい。


どうやら、夏休みに合コンに行った際、狙っていた男性と仲を深めていたのだけど……。

後日、一緒に参加していた他の女性とデートしているところを見かけて、ソッコーで縁を切ったんだそう。


きっとその男の人は、みゆ姉の本性を見抜いて関わるのをやめたんだろう。

いくら猫かぶってても、何かの拍子にボロが出ちゃうからね。

友達からもお叱りを受けて、今年は恋愛せず真面目に就活するんだって。
< 95 / 144 >

この作品をシェア

pagetop