My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】

5.嵐


 セリーンに支えられるようにして私は寝室へと入った。
 こんな顔ではリディに会いづらくてセリーンが一先ず寝室へと連れてきてくれたのだ。
 途中何人かとすれ違ったけれどセリーンがまた少し酔ってしまったようだと軽く誤魔化してくれた。

「リディを連れてすぐに戻る。私が出たらすぐに鍵をかけるんだぞ」
「うん。ありがとう」

 なんとか笑顔でお礼を言うと、セリーンは優しく微笑んで私の頭を撫でてくれた。
 彼女が寝室を出て行って鍵をかけてから私は小さく息を吐いた。

「なに泣いてんだろ、私」

 ハンモックに腰掛けてそのままゆっくりと横になる。

(ラグに、帰れなくてもって言われたことがショックだった……?)

 私は元いた世界に帰るために旅をしていて、それをラグは知っているはずなのに。

(あんな言い方しなくてもいいのに)

 また涙が滲んできてしまって困った。
< 41 / 440 >

この作品をシェア

pagetop